■それは '96年の夏
デパートに並んだ輸入リンゴの写真が新聞に掲載された日、杉並区のMスーパーでも、輸入リンゴが一つのコーナーを占領していた。
「これが話題の輸入リンゴね」
「なんか、変にテカテカ光ってるわねぇ〜」
「農薬を使ってるらしいわよ」
「国産のだって農薬を使ってるんでしょ?」
若い主婦たちの話に、私も割り込みました。
「国産のは毒性の弱い農薬を使ってるし、農薬を使う回数をできる限り少なくして、収穫前には使わない、って、青森の友達が言ってるわ。だからずっと安全だと思いますよ」
これは、パソコン通信上で知合った、青森の生産者の方から教えて戴いたことでした。
その後、Mスーパーに輸入リンゴが新しく入荷した様子はなく、輸入リンゴのコーナーは間も無くなくなりました。
今は元通り国産りんごが、穏かな香りを漂わせています。
違ったことと言えば、その後、それぞれのりんごの前に、産地として誇らしげに日本の県名が表示されたことでした。
お母さんたちに敬遠された輸入リンゴは、いったい何処へいったのでしょうか?
まさか、お母さんたちの知らない間に、ジャムになって、こっそり学校給食になっていないでしょうね。
※1996年7月5日号 青森県りんごニュース「花ばさみ」から転載
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